2007年第4回建築学科連続講演会:前田寿朗

演題:RC造と組積造の塔の微動測定からわかること~歴史的建造物と世界遺産アンコール遺跡への挑戦
講師:前田寿朗 氏
所属:早稲田大学創造理工学部建築学科
日時:2006年10月1日(月)16:20~17:50
場所:16号館 セレストホール
講演概要:歴史的な建造物として,許容応力度設計しかされておらず,またRCフレーム構造のように力学的特性がわかっていないタイプの構造物の耐震性を明らかにすることを目的として、40年ほど前に建設された高さ40m,直径17mのRC造給水塔の微動測定および人力加振測定を行い、測定で得られた卓越振動数と固有振動数を合わせることにより,そこで得られた初期物性に基づいて弾性線形時の有限要素モデルを作成し,RCシェルの静的および動的FEM解析を行って,地震時の破壊過程および耐力を評価しました.
その後、同様な機器をカンボジアに運搬して,13世紀頃に建設されたアンコール遺跡のバイヨン寺院で微動測定を行いました.測定の目的は,上記の歴史的な給水塔同様に、砂岩の空積み組積造の遺跡建築物がどのように崩壊するかを予測することにあります.また、同様な物性はペルーのマチュピチュ遺跡でも得られています.これらの塔について,不連続変形法というブロックを積み重ねたモデル化を行い,風力に関する検討を行ったところ,風速20m/sに対しては十分な安全性があることが確認されました.このような例から,構造物の種類を問わず,微動測定結果に解析的検討を組み合わせることにより,実証的に構造物の安全性を評価できることをお話したいと思います.