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『横浜建築』のススメ

 2022年4月に、建築学部が誕生します。このため、これまで慣れ親しんできた工学部建築学科という名称は、建築学部建築学科へと変わります。

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このドッグは、1898(明治31)年竣工のドッグ。現在、1930(昭和5)年竣工の帆船日本丸が保存され、停泊している。このドッグも日本丸も国の重要文化財。

ぜんぶ、建築だ。 
 だた、これは単なる名称の変更と思ってはいけませんよ。これまでの3コース制は5コース制へと大きく変わるんです。現在、構造・環境・デザインという3コース制ですが、新たに住生活創造・まち再生という2コースを加えた5コース制となるんです。そのため、新しい2コースに伴う新教員とともに新しい科目もドーンと増え、充実した科目群が揃います。これにより、建築学科の学生たちの学びも、これまでの工学領域だけではなく、デザイン領域はもとより都市学や社会学などの人文系を含むより広い領域へと拡大化され、皆さんも興味に添って科目を選択できるなど幅広い教育を受けることができるんです。


神奈川大学のある横浜の魅力
 さて、そうした新しい科目の中で、今回紹介するのが神奈川大学入門テキストシリーズ『横浜建築』です。1年生に向けた選択科目で、建築学部の誕生を記念して、とりわけ神奈川大学で学ぶ学生たちに、本学の立地している都市”横浜”の魅力を伝えることを目的にしています。

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ランドマークタワーと一体となった旧ドッグ
このドッグは、1896(明治29)年竣工のドッグ。保存にあたって、ドッグの水を抜き、石造の地下広場のように様々なイベント広場として利用している。こちらも国の重要文化財。


開港の地、横浜
 神奈川大学の立地する“横浜”は、皆さんもご存じだと思うんですが、幕末期に開港された港町で、日本でいち早く世界と貿易を通して発展した国際都市でもあるのです。発展とともに横浜には外国人も続々と増え、幕末から明治期には関内と山手に商館や住宅を構えました。当然ながら、外国人たちは、異国の地である日本でも慣れ親しんだ欧米スタイルの建築を求めたんです。

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神奈川県立歴史博物館
旧横浜正金銀行本店。妻木頼黄の設計で、1904(明治37)年竣工。こちらも国の重要文化財。


発祥の地の宝庫、横浜
 こうした動きは、建築だけではありませんでした。関内の道路は舗装され、ガス灯が配置され、地下には下水道が引かれたんです。こうした都市設備も日本で初めて導入された近代的設備だったんです。ちなみに、鉄道も日本で初めて舗設されたのは横浜―新橋間でしたよね。また、皆さんが大好きなアイスクリーム、あるいは、二十歳になったら飲むことのできるビールも、ここ横浜が発祥の地なんです。このように“横浜”は、幕末以降、積極的に欧米文化を取り入れて発展してきた都市なんです。言い換えれば、開港以来、横浜の建築スタイルや都市施設は、欧米の新しいスタイルを最初に取り入れながら発展してきたといえるのです。

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横浜市開港記念会館
旧開港記念横浜会館。1916年竣工の赤煉瓦と白い石を組み合わせたフリークラシック様式の建築。こちらも国の重要文化財。


歴史や文化を肌で感じ学ぶ
 現代の都市横浜は、そうした誇り高き歴史と文化を発展的に継承し、新しい建築や都市づくりを積極的に展開しています。まさに、建築学部建築学科で学ぶ皆さんにとっては、建築や都市の歴史や文化について考えたり、また、新しい建築と都市のデザインやあり様を考えたりするには、この都市横浜は極めて優れた教材でもあるということです。横浜の街歩きは、単に楽しむだけではなく、デザインはもとより歴史や文化などを意識しながら散策することで、そのまま学びになり、皆さんを鍛えてくれるのです。

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神奈川県立図書館(左)・音楽堂(右)
わが国の戦後を代表するモダニズム建築。前川國男設計。1954(昭和29)年竣工。

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図書館閲覧室

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音楽堂ホワイエ

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音楽堂ホール

必ず街歩きしたくなる講義です!
 『横浜建築』は、そうした街歩きのための建築と都市についての基礎的知識と考え方を、建築学部の8名の先生方で分担しながら、歴史とデザインとともに、都市計画や建築構造さらには音環境といった観点から論じています。講義を受けたら、必ず、街歩きしたくなるよ!

どうぞ、歩いて学ぶ都市横浜を楽しんで下さい。


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建築学部建築学科(2022年4月開設)
内田 青蔵 教授(学部長就任予定)