High Rise Buildings in SE Asia

1995年12月8日から13日にかけて東工大和田先生、岩田先生(当時新日鐵)、
東工大竹内先生(当時新日鐵)、江戸和戸の宮崎さんとで東南アジアに建設中の超高層建築を駆け足で視察しました。
ここにそれらの建物の概要を紹介します。
目次
- Kuala Lumpur
- SINGAPORE
- 香港
- SHENZHEN
戻る
KLCCタワー
構造概要
- 所在地:Jalang Pinang, K.L., MALAYSIA
- 企業者:KLCC City Centre SDN.BHD.
- 設計 :KLCCアーキテクト(基本設計:シーザ・ペリ)
- 構造設計:ソートン・トマセッティ社、ランヒル・バーセツク社
- 施工者:MAYJAUS JV(ハザマ他JV)
- 建物概要:地下6階、地上88階、付属棟45階
- 建物高さ:地上より451.9m(塔高73.6mを含む)
- 構造:コア、チューブとも鉄筋コンクリート構造、塔部鉄骨造
- 延べ床面積:180,350㎡ (Tower 153,000㎡ Bustle 27,350㎡)
コメント
高さ450mのツインタワー。階数は公称88階であるが、実際には95階相当になっている。
88階までは、高強度コンクリート(最大80MPa)を用い、コア壁と外周チューブからなる鉄筋コンクリート構造である。
88階までで378mあり、シカゴの311サウスワッカー通りビルを遥かに抜いた世界1の高さの鉄筋コンクリートビルである。
さらに上部に鉄骨製の塔部が付き、あわせると450mになり、シアーズタワーを抜く世界一の高さのビルとなる。
41、42階には2本のタワーを結ぶスカイブリッジが渡されている。部材の断面は、剛性確保の必要性から決まっている。
鉄筋は、最低鉄筋制限で決まっているようだ。主として、ACIの規定を準用しているが、一部英国コードによっているとのこと。
品質管理はISO9000準拠。
鉄筋コンクリート造の超高層建物だと、コンクリートのクリープによる縮みが無視できない。
計算では60cm程度縮むことになっており、階高をふかして施工している。
クリープの計測は、現地でのひずみ計測と、ハザマの研究所でクリープ試験を行っている。
目次へ戻る
リパブリックプラザ
構造概要
- 所在地:Raffles Place, SINGAPORE
- 企業者:CDL Properties Pte. Ltd.
- 設計 :RSP Architects(基本設計:黒川紀章建築都市設計事務所)
- 構造設計:RSP Architects Planners & Engineers、新日本製鐵
- 施工者:清水建設、新日鐵
- 建物概要:地下1階、地上66階
- 建物高さ:地上より280m
- 構造:コア;鉄筋コンクリート構造、チューブ;鋼管コンクリート造
- 延べ床面積:124,726㎡ (Tower 97,369㎡ )
コメント
シンガポールで三番目の最高高さビル。コア部分は、鉄筋コンクリート造外周は鉄骨構造。
鉄骨柱は、49階まではコンクリート充填鋼管柱となっている。コンクリートの充填は、
トレミー管方式と、圧入式が併用された。これは、外周柱が途中階3カ所で斜め柱となっており、
この部分にコストの安いトレミー管方式が適用できなかったからである。
1階の鋼管コンクリートの耐火被覆、柱と仕上げの間の空間がかなり大きい。
目次へ戻る
リー・ガーデン・デベロップメント
構造概要
- 所在地:香港島、コーズウェイベイ、香港
- 企業者:Perfect Win Properties Ltd.
- 設計 :Dennis Lau & Ng Chun Man Architects & Engineers (H.K.)
- 構造設計:鉄骨代案設計;新日本製鐵
- 施工者:青木建設、新日鐵
- 建物概要:地下4階、地上50階
- 建物高さ:地上より216.89m(マスト頂部246.28m)
- 構造:コア;鉄筋コンクリート構造、チューブ;鋼管コンクリート造
- 延べ床面積:83、855㎡
コメント
中央のRCコアと外周部の鉄骨フレームからなる混合構造。コア部で水平荷重(風)の7割を負担。
建物全体の剛性を高めるために、最上階と中間階にベルトトラスが設けられている。
また、低層部の柱をとばすため、6、7階にベルトトラスが設けられている。
コア部には、香港名物の竹足場が組まれていた。
鋼管コンクリートは圧入で施工されている。写真は、中間階での圧入口の並びである。
香港のクリスマスシーズンは、超高層建築もクリスマスの飾り付けに使われる。
電飾で飾られたビル群は、非常に美しく、年間でもっとも美しい夜景である。
目次へ戻る
ディー・ワン・デベロップメント

構造概要
- 所在地:Shenzhen,中国
- 企業者:Karbony Investment Ltd.
- 設計 :American Design Associates Ltd.
- 構造設計:Maunsell Consultants Asia Ltd.,新日鐵
- 施工者:香港熊谷組、新日鐵
- 建物概要:地下3階、地上68階
- 建物高さ:地上より325m(マスト頂部384m)
- 構造:コア;鉄筋コンクリート構造、チューブ;鋼管コンクリート造
- 延べ床面積:266、784㎡
コメント
中央のRCコアと外周部の鉄骨フレームからなる混合構造。柱は、鋼管コンクリート構造、
鋼管コンクリートは圧入で施工されている。KLタワーができるまでは、東洋一の高さを誇るビルとなる。
香港と違い、一応の耐震設計が行われている。22、41、66階の設備フロアーには、
建物の剛性を高めるためのトラス階となっている。
Shenzhenには、100mを越す超高層ビルがめじろ押しであり、優に100棟は越えている。
これらは鉄筋コンクリート構造であり、多くはスリップフォームを用いた工法をとっているようである。
さらに、このときの足場を用いて、今度は上から下に向かって仕上げ工事をしている。
工期との対応がよければ、結構合理的な工法である。
ホームページへ戻る